収用等によって資産を譲渡した場合、交換処分等によって資産を譲渡した場合又は権利変換等により収用等による譲渡があったものとみなされた場合で、その年中のこれらに該当することとなった資産の全部について収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例又は交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用を受けないときは、これらの収用交換等により譲渡した資産の譲渡所得の金額及び所得税の額は次のように計算することができます。

1 分離課税の土地建物等の長期譲渡所得の場合
分離長期譲渡所得の金額=補償金等の額-譲渡資産の取得費-譲渡費用-居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、雑損失の繰越控除の規定の適用がある場合は、その控除金額

分離課税長期譲渡所得金額=分離長期譲渡所得の金額-特別控除額(最高5,000万円)-所得控除の規定の適用がある場合は、その所得控除額

税額
分離課税長期譲渡所得金額×15%

2 分離課税の土地建物等の短期譲渡所得の場合
分離短期譲渡所得の金額=補償金等の額-譲渡資産の取得費-譲渡費用-居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除、雑損失の繰越控除の規定の適用がある場合は、その控除金額

分離課税短期譲渡所得金額=分離短期譲渡所得の金額-特別控除額(最高5,000万円)-所得控除の規定の適用がある場合は、その所得控除額

税額
分離課税短期譲渡所得金額×30%
※軽減税率が適用される場合の税率は、上記によらず一定の特例によることになります。

3 総合課税の場合
譲渡益の金額=補償金等の額-譲渡資産の取得費-譲渡費用-特別控除額(最高5,000万円)
総所得金額に算入される譲渡所得の金額=(譲渡益の金額-譲渡所得の特別控除額)×1/2(長期譲渡所得の場合に限る)
※1 上記の5,000万円の特別控除は、控除の対象となる金額が、5,000万円未満であるときは、その金額が限度となります。(控除後の金額をゼロとする。)。
※2 5,000万円の特別控除は、その年中の収用等による資産の譲渡について、2以上の控除が適用される場合は、控除する金額は年間を通じて5,000万円の範囲内とされます。この場合、その控除額は、次の所得の特別控除から順次成るものとされます。

イ 分離課税の土地建物等の短期譲渡所得
ロ 総合課税の短期譲渡所得
ハ 総合課税の長期譲渡所得
ニ 山林所得
ホ 分離課税の土地建物等の長期譲渡所得

特例の適用が受けられる場合

この特例は、その資産の譲渡が収用交換等によるもので、かつ、次に掲げる要件に該当する場合に適用されます。

(1)収用交換等によって譲渡した資産の全部について、収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例及び交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例の適用を受けないこと
(2)資産の収用交換等による譲渡が、公共事業の施工者からその資産について最初に買取り等の申出のあった日から6月を経過した日までに行われること。ただし、最初に買取り等の申出があった日から6月を経過した日までに次に掲げる請求等が行われている場合には、それぞれ次に掲げる期間に6月を加えて経過した期間内に、その資産の譲渡が行われればよいことになっています。
イ その資産の譲渡について土地収用法第15条の7第1項の規定による仲裁の申請に基づき同法第15条の11第1項に規定する仲裁判断があった場合…その申請をした日からその譲渡の日までの期間
ロ その資産の譲渡について土地収用法第46条の2第1項の規定による補償金の支払の請求があった場合…その請求をした日からその譲渡の日までの期間
ハその資産の譲渡について農地法第3条第1項又は第5条第1項の規定による許可を受けなければならない場合…その許可の申請をした日からその許可があった日(その申請をした後にその許可を要しないこととなった場合には、その要しないこととなった日)までの期間
ニ その資産の譲渡について農地法第5条第1項第6号の規定による届出をする場合…その届出書を農業委員会に提出した日からその届出書を農業委員会が受理した日までの期間(農地法第18条第1項の規定による許可を受けた後届出をする場合には、申請をした日から許可があった日までの期間を加算した期間)
(3)一の収用交換等の事業について収用交換等による資産の譲渡が2以上あった場合で、これらの譲渡が2以上の年にまたがって行われたときは、そのうちの最初に譲渡が行われた年における資産の譲渡に限ること
(4)資産の収用交換等による譲渡が、その資産について最初に買取り等の申出を受けた人(最初に買取り等の申出を受けた人が死亡した場合には、その人から相続などによってその資産を取得した人)から譲渡されるものであること

買取り等

買取り等とは、資産の買取り、消滅、交換、取壊し、除去又は使用をいいます。

適用を受けるための手続き

この特例の適用を受けるためには、確定申告書に、①措置法第33条の4と記載するとともに、②「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)」、③公共事業施行者から交付を受けた買取り等の最初の申出の年月日及びその申出の対象となった資産の明細を記載した証明書、公共事業施行者の買取等の年月日及び買取等の目的となった資産の明細を記載した証明書などを添付しなければいけません。
ただし、この特例の適用を受けることによりその年分の確定申告書の提出を要しないこととなる場合は、申告の必要はありません。
なお、このような手続きをしなかった場合でも、確定申告書を提出しなかったこと又は確定申告書に所定の事項を記載しなかったこと若しくは所定の書類を添付しなかったことについて税務署長がやむを得ない事情があると認めるときは、確定申告書に記載すべきであった事項を記載した書類及び添付すべきであった書類を提出してこの特例の適用を受けることができます。

延払条件付譲渡についての利子税の免除

補償金等が賦払いで支払われる場合の延払条件付譲渡の延納税額についての利子税は、免除されることになっています。